2014/12/16

アウストラル街道 vol.1

◎12月8日
【Chacabuco - Coyhaique】79.34km
思わぬ出逢いがあったチロエ島。本土へ戻るフェリーは、当初予定をしていたChaitenではなく、さらに南下するChacabuco行きに乗った。これも旅の醍醐味。37時間をゆるりと船上で過ごしたあとはPuerto Aysenを過ぎて、サイクルメーターが1000kmを指した。そしてついに夢に見たCarretera Austral〜アウストラル街道〜に入る。いつからだろう。自転車旅をしたい、そう思うきっかけになったルート。其処に今自分達が居ることが嬉しくて、まだ見ぬ景色を出逢いを思っては胸が高鳴る。その気持ちをさらに高まらせるかのように続く絶景。そして今日は偶然にも"聖母マリアの日"という祝日だそう。自分たちが進むルートが巡礼路となっているようで多くの人たちと挨拶を交わす。道中では何度もサンドウィッチやお菓子、ジュースをいただいては「他には?お水は大丈夫?」と気を遣ってもらう。何だかアウストラル街道に招かれているような気持ちになりながら先を進む。コジャイケに着く手前の展望台で出逢った家族のご好意で、最後の数キロは車の荷台に自転車を積んで街に着いた。














◎12月9日
【Coyhaique】
コジャイケではこれからのルートに備えて防寒の為にニットやフリース、手袋などを買い足すことに。先月末あたりからはどの街からもクリスマスっぽさを感じるようになった。泊まった宿も例にもれず、そんな宿ではバンブーバイクと呼ばれる"竹"で自作した自転車で旅をしているサイクリストFalkに出逢う。




◎12月10日
【Coyhaique - Laguna Chiguay】61.7km
急な上り坂のあとは穏やかな風景と下り坂。時速76kmが出たとはしゃぐも、後半になるにつれ続く上り坂と向かい風にバテバテ。風の凄さをここにきて味わうようになった。とにかく止まれば身体が冷えるし走ってもなかなか進まない。やっとの思いでキャンプサイトに着く。薪が用意されていて焚き火も自由に出来るというのでありがたく使わせてもらう。調理だけでなく、お湯を沸かしては足湯をして心も身体もぽかぽか!










◎12月11日
【Laguna Chiguay - Villa Cerro Castillo】40.52km
アスファルトで平坦な道なのにペダルが重い。昨日に続きパタゴニアの風を感じながら走る。自転車を風よけにしながらランチを済ませ、なんとか峠を越えて見事なヘアピンカーブの坂道を下って軽快な道を進んでいると、うしろからFalkが。少しの間一緒に走ったあとは、名前の如く、お城のようにそびえるCerro Castilloを眺めながら休憩。優雅なひととき。またね、と別れたあとは一瞬のうちに姿が見えなくなる。彼の本気を見た瞬間。今日の目的地は小さな町セロカスティージョ。商店は少なく品揃えが良くないうえに高価。






◎12月12日
【Villa Cerro Castillo - Laguna Cofre】63.77km
ここから始まる未舗装路。なかなか大変な峠を越えたあとは湖と山々を眺めながら走行。18時を過ぎて野宿先を迷っていると、川の向こう岸に廃屋を発見。こちら側はデコボコ石がいっぱい。自転車ごと川を渡ることに。冷たい…!石が痛い…!廃屋の裏にテントを張って、明日は雨が降らないことを祈りながらの就寝。






◎12月13日
【Laguna Cofre - Puerto Rio Tranquilo】65.29km
廃屋で朝食を済ませて、いざ本道へ。日差しがまだ少なく凍えるような水温。3往復してくれた知基に感謝。穏やかな道もほどほどに坂道が多くなってくる。道の斜傾がおかしい、車輪が流される。押すしかない。そんな急な坂を華麗に走ってくるチャリダーが。あ、Falk!まさかの再会で一緒に休憩していると、とある一台の車が目の前で止まる。車から顔をのぞかせたのはCochamoで会ったスイス人ファミリー。みんな大興奮、ちょうどトランキーロまで行く道中だったそう。楽しいひとときを過ごして、またの再会を願ってお別れ。ターコイズ、コバルトブルー、エメラルドグリーンと輝く湖を眺めながら走行。とにかく綺麗な景色が元気の素。






◎12月14日
【Puerto Rio Tranquilo】
翌日は知基に自転車整備をお願いして、マーブルカテドラルツアーに参加。やっぱりふたりで共有するのがいちばん。










◎12月15日
【Puerto Rio Tranquilo - Puerto Bertrand】69.77km
この日は、自分たちと同じ方向を目指し1年以上旅をしているスイス人カップルとも会う。アウストラル街道はすごく景色は綺麗で見応えがあるけれど、文化的ではない。この景色は正直ヨーロッパ、スイスでも見られるし、彼らにとってはペルーやボリビアが最高だったという。文化も違えば人、インディアン、食べ物もすべて個性に溢れてる、と。夢に見たアウストラル街道をこんな風に思う人たちもいるのかぁ、ペルーに早く行ってみたいねとふたりしてわくわく。坂が多くなかなか距離はかせげないものの、18時前にPuerto Bertrandという町を抜け、川沿いに良い野宿ポイントがあると聞いていたので、Rio Baker沿いで野宿。此処が完璧すぎるほどの場所。ターコイズ色をした水が物凄い音を立てて流れ、川辺に波打つ様子がまるで海のよう。そんな川に裸で入っては、身体も服も水洗い。冷たいけど気持ち良い!夜は先人たちが使ったであろう石組みと車タイヤのホイールを工夫して焚き火。野宿やキャンプが続くと「水」と「火」が人の身体を、心を、どれほど豊かにしてくれるかを実感する。そんなことを思いながらパチパチと燃え上がる炎を眺めては、心の底からじんわりと暖まる、しあわせな一夜を過ごした。








◎12月16日
【Puerto Bertrand - Cochrane】35km
まさかの10:00起床。
本気でもう一泊を考えながら、結局12時を過ぎて泣く泣く出発。10kmほど細かなアップダウンを走るとずいぶん酷い坂道ばかり。Rio Bakerのターコイズブルーに輝く川が唯一の救い。気持ち良く下ると、橋が見えてくる。が、先を見るとまさかのヘアピンカーブ。体力をつけるべく橋で休憩。そこからは容赦ない上りが続く。休憩ポイントから随分進んだ気がしたものの、たった数キロ。ここでヒッチハイクを決意。おじちゃんに乗せてもらい15km近い距離を走りあっという間にCochraneへ。
思ったよりこじんまりとした町を自転車でまわる。メルカド前に面白そうな自転車が2台。オレンジ色の大きなトレーラー付き。この自転車の持ち主、Pabloにキャンプサイトを紹介してもらい食料調達のあとさっそく尋ねてみる。結局その後はPabloと同じくスペイン人の女性チャリダーNoemiとみんなで旅の話を聞いたりして就寝は23時過ぎ。この時はまだこのPabloが、これからの自分達にとってどれだけ大きな存在になるかは知る由もなかった。







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